旅の本当の扉が開いた

2012-01-15

電車がやってきて中年女性は知人を見送り、その後でどこまで行くの、と型どおりの質問を投げかけてくる。まあ信越方面でも、といつもなら適当に答えるのだけれど、なぜかそのときは、どこまで行くと思います?と妙に芝居がかった切り返しになってしまったのは、中年女性と連れの男性が、僧籍に近い在家の信徒のように見えたからかもしれない。ここは日蓮宗の総本山、身延の隣町でもあるし。「新潟?」とその女性が口にした地名が、一瞬、熱気がくぐもった無人駅の改札の辺りを、鹿脅しの水のように、鐘の音のように、こぼれ落ちる。

[参考情報]
浦和ワシントンホテル - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad397986/

ホテルサンルート福島 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad341217/

ホテルサードニクス東京 - じゃらんnet
http://www.jalan.net/yad311518/

こちらはしばし絶句する。「どうして新潟だと思ったんですか」。すると、その人は、別段どうということもない風に「私も新潟だから」と言い、ではお気をつけてと車を運転して立ち去って行く。人は、そうしたことを偶然と言う。けれど私にとっては、そのとき、この旅の本当の扉が開いたように思えたのだ。