わが国の印刷業界の大きな特徴の一つは、凸版印刷と大日本印刷の2大企業が他の印刷会社を引き離し、圧倒的に強力なことである(両社の詳細については、Chapter4を参照)。両社の2007年度(2008年3月期・連結)の売上高を見ると、ほぼ同額の1兆6000億円強を誇る。この2社は、わが国の印刷会社のツートップであると同時に、世界の印刷会社のランキングでもI位、2位を独占。また、わが国の製造業全体のなかでも、トップクラスの巨大企業である。印刷業全体の出荷額は6兆数千億円ほどなので、この2社だけで半分近くを占めることになる。凸版・大日本に二番手集団の印刷会社を加えると、印刷業界全体の売上高の6割程度を占める。つまり、印刷業界は完全なる寡占状態にあるのだ。印刷業界は、凸版・大日本を筆頭に、共同印刷などの準大手クラス、中堅クラス、そして圧倒的な数を占める中小企業という構図になっている。印刷事業者は、全国に約1万6500あるといわれているが、そのうち約97%が従業員100人以下の中小事業者である。中小印刷会社のなかには、凸版・大日本の下請けとして、業務を請け負っているところも少なくない。その業務のほとんどが、この2社からの請負仕事であるところも多いことから、両社の動向が圧倒的多数を占める中小印刷会社の動向や業績を左右するといっても過言ではない。凸版・大日本は、高い資金力を活かして、継続的に設備を更新したり、事業の高付加価値化を進めたりすることが可能である。印刷技術を応用したエレクトロニクス関連事業も好調に推移している。それに対して、設備投資ができずにデジタル化などに対応しきれなかった中小零細業者を中心に、倒産や廃業に追い込まれたところも多い。印刷業界は、今後も中小零細業者の淘汰がさらに進む一方、中長期的に見ると、凸版・大日本の2社を中心とした上位企業による寡占状態がいっそう進んでいくと考えられる。