ネッティングネッティングとは

2011-06-09

ネッティングネッティングとは、一定期間における債権・債務関係を一括して清算し、債権・債務の差額について資金を授受する決済方法のことをいいます。特に、企業グループ内取引で子会社等が、定期的に交互の債権と債務を相殺し差額を一斉に決済することをマルチ・ネッティングといいます。外部金融機関等を通じての支払・受取額と手間を最小に抑えるための技法といえます。ネッティングの具体例をみてみましょう。グループ企業、在日のA社、在欧のB社、在米のC社は交互に輸出入を行っています。その輸出入取引の結果、A社は一〇〇万ユーロをB社に支払い、C社から七〇万ドルを受け取らなければなりません。またB社はA社から一〇〇万ユーロを受け取り、C社に五〇万ドルを支払います。もしネッティングを行わなければ、この三社は図のようにそれぞれに送金をして決済をしなければなりません。このため、例えばA社は七〇万ドルと一〇〇万ユーロの為替取引を対円で行う必要がありますし、B社は五〇万ドルを対ユーロで購入しなければなりません。そこでこのグループ企業三社がネッティングを始めるとどうなるでしょう。一ドル一ユーロの為替相場であったとしましょう。この相場はいくらでもよいのですが、説明を簡単にするためにこうします。まずA社は、支払うべき一〇〇万ユーロ(=一〇〇万ドル)と受け取るべき七〇万ドルの差額を計算します。結果は三〇万ドルの支払となります。次にB社は支払うべき五〇万ドルと受取の一〇〇万ユーロ(=一〇〇万ドル)から、受取は五〇万ドル(=五〇万ユーロ)となります。最後にC社は支払うべき七〇万ドルと受取五〇万ドルの差から、支払二〇万ドルとなります。こうして三社のネットの受取、支払額が出ましたので、図にあるようにA社が中心となって差額の決済を行います。この結果、ネッティング前に比べて、各社の決済金額は小さくなり、送金件数も減少します。企業として為替取引の手数料や、送金の手数料が節約できることになります。大手電機メーカーなどでは、ロンドンやシンガポール等の海外金融センターに設置した金融子会社等に為替管理センターの役割を持たせ、ヨーロッパ地区や、アジア地区において生産・販売を行っている現地法人の為替ポジションを集中管理させ、ネッティングを実行している例もあります。ネッティングは、輸出あるいは輸入専業の企業よりも多国籍企業内のグループ内決済に適しています。なお、ネッティングに対する障害要因としては、発展途上国などでの現地政府の為替管理に基づく規制があげられます。