音が似てきたのは、日本の中だけの話ではない。サンプラーやシンセサイザー、シーケンサーなどが世界的に普及した九〇年代中ごろ以降、似たような楽器編成と音色の音楽が、ちがった国から出てくることが珍しくなくなった。例えば、九〇年代後半以降、台湾・香港・韓国など東アジア圏のポピュラー音楽は、楽器の音色や音処理だけに着目すれば、歌を除くバックの演奏は日本のポピュラー音楽とほとんど同じと言ってよい。これはサンプリング音源やシンセサイザーなど、使用される音楽機材が国境を超えて普及し、画一化したからである。
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また、録音スタジオに設置されているリハープ、イコライザーなど音の加工機材も世界中でほぼ平準化しているので、音の処理を真似ることはたやすい。例えば、あるエンジニアは「プロが聴けば、日本で大ヒットしたある女性シンガーのバックの音は、楽器の音色やエコー処理がジャネット・ジャクソンの一時期の作品とほぼ同じであることがすぐわかる」といったことを話していた。他人の作品の音を真似るのも簡単になった。レコードを聴いて気に入った音があると、そのプロデューサーやミュージシャンがつくったCDやサンプリング音源をスタジオに持ち込み「これを使ってくれ」とエンジニアに注文するミュージシャンが増えた。レコードで聞いたままのデジタルコピーをつかってまたレコードを作るのだから、似ないわけがない。