人間が手で創り上げる物

2010-12-19

人間が手で創り上げる物は、より創造的な希少価値となり、新しいアートとして分類されるのではないか。かつてはオートクチュールのメゾンはデザイナー自身の城であった。ディオールやバレンシアガやシャネルも世を去り、後継者は創始者ほどの強烈な個性もなく、資本家にメソンとその名前を莫大なお金とひきかえに売り渡し、商業主義による事業として、故人のイメージが強調される。しかし、残された職人たちによって、アトリエの技術は故人独特の技術とテイストを継承している。ひと頃、職人たちの高齢化や職人技を受け継ぐ人が少なくなってきたといわれたが、最近ではまた、そうした手仕事に興味を持つ若い人がふえてきたのは、うれしい。このハンドクラフトを貴重な伝統工芸として大切に残し、日々、人間の頭脳によって革新されていく科学的な生活産業と共存させていきたいものだと、私は願っている。そんなことを考えながら、一年に二度、発表してきたオートクチュールの作品のなかから、それぞれ何点か、私の歩いてきた歴史の証として選び、保存している。今では何百点をこえる大きなコレクションになってしまった。