何のことはない。そのすべてが20世紀型のマーケティングと戦略にすぎず、極論すれば金(キャッシュ)にモノを言わせて力まかせにそれをやっているだけ。だから分かりやすいけれども、私がら見ればそこには次の時代に向けた流通の知恵とヒントはほとんどない。そうした強引かつ使い古された(?)やり方でも成長が可能なのは、両社の扱っている商品の性格に起因しよう。家電やパソコン、AV機器は、衣料品などと違って、モノそのものに需要力と(換金)価値がある。さらにこれらは「熟知型商品」と呼ばれ、したがって顧客が店に求める要素は単純明快。「安さ」「(品揃えの)豊富さ」「(立地の)便利さ」がそのベストスリーである。ゆえに郊外で車アクセスが容易な立地、あるいは電車で便利な駅前立地に、他店を圧倒する規模の大型店をドーンと構え、ポイントの大盤振る舞いで安売りをすれば、自然と顧客が群がってくる。対するアパレル小売業はこうはいかない。たった500円の商品にも、好みや感性、文化やファッション性などの「付加価値」が求められる。たしかに近年は、たとえばテレビやパソコンなどの購入でも、色やデザインにこだわる人が増えているという。しかしそうした付加価値よりはまず、基本機能とスペック、そしてそれにふさわしい価格の方がより重要なはずだ。逆にアパレル商品は、気に入らなければ(自分にとっての付加価値がなければ)タダでも要らない。そういう意味で、アパレル小売業には、常に時代に即応したマーケティングと流通戦略が厳しく問われる。とりわけモノ余り、モノ離れが叫ばれる昨今、下手をすればタダでも売れない大衆向けアパレル商品を、どう市場で売っていくか。そこにこそ、今後の流通ビジネスの本質があるように思う。だから、わが国大衆アパレル小売業の圧倒的2強であり、しかも、何から何まで互いに対極の道を歩むユニクロ、しまむらを対比・分析することが、それを読み解く上での近道となるのではないか……。今、あえて「ユニクロとしまむら」という視点に着目する所以である。